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退屈な時に読む本は、何も考えないでいいんじゃね?
3DS R4i 販売退屈世界 4


【前回のあらすじ】
「古書 五っ葉文庫」古沢和宏は”痕跡本”が大好きな古本屋である。
しかし、せっかくだからいろんな人の痕跡本が見てみたい!と、意を決して募集を呼びかけてみる事にした。
「突撃!隣の痕跡本」しかし、待てどくらせど応募数はゼロ。できればみなさんの痕跡本で原稿を書きたかった…。でも締め切りは迫ってくる。ふいに油断した瞬間、涙が二粒、原稿にこぼれた。
出来上がったものをみてみるとあら不思議。
「前回のあらすじ」と書いた筈が、「前回のあらずじ」に…。
書いていない点が二つ、それはまるで、涙という痕跡が刻んだ濁点。泣くんじゃない、古沢和宏!
きっといるはず、痕跡本好き!だから待とう、希望をもって…!もう二度と、「あらすじ」を、涙でぬれた「あらずじ」にしない為にも…! 


こんにちは。誤植の言い訳を「涙」で水に流したい、その場しのぎニストな古本屋「古書 五っ葉文庫」の古沢です。

……………だめか。

そうですよね……………。そもそも原稿、手書きじゃないし。
すいません、もしかしたら誰もきづいてなかったのかもしれない話を一人で勝手にわいわいと…。でも僕的にはかなりヘコんだわけなんです。いきなり書き出しから間違える奴がいるか、と。
それこそ、痕跡本の応募が来なかった事より! 
掲載された原稿をみた瞬間、「やってもた…」の脳内大コーラス。一人部屋の中でもんぞりかえってバタバタして、頭の中にいろんな言い訳を考えては、かき消して…。そんな永遠に続くかの様な言い訳無限地獄のなか、でも次の瞬間、頭の中でおかしなスイッチが入りました。
誤植の言い訳を考えるの、なんか楽しいかも! 
いや、開き直りじゃないですよ…!
あなたにもありませんか?言い訳を考える為に頭をフル回転させたとき、普段じゃ考えつかない様なアイデアが浮かんだ事…。追い込まれ、アレとコレとの説明に矛盾がないよう、そして、できるだけ自分の落ち度がなくみえるよう、頭の中で一生懸命に考えるそれは、日常の想像力を遥かに凌駕します。
そして、最高の言い訳ができた時には、ほっと安心すると共に、切り出すタイミングを、ドキドキと、でも実は楽しみにしていたりする…。
言い訳とは、つまりは自分を守るためにつくりだす「物語」にほかなりません。と同時に、本来の「真実」という物語を別の側面から切り取った、自分だけの「パラレルワールド」を作り出す事でもあります。それは、現実に触発されて生まれた、誰も知らない、自分だけの物語…。
実は、そこには痕跡本を読む楽しさと通じるところがあったりします。いや、すべての「物語」を生み出す楽しさと同じともいえるでしょう。
「無」からは物語は生まれない。すべて、想像力を活性化させるきっかけがある…
言い訳とは、もしかしたら「物語」のはじまりなのかもしれません。 

…話が壮大にそれました。というか、話をそれっぽく大きくして、つい言い訳の言い訳をしてしまいました…。どこまで往生際が悪いんだ僕は…。
改めましてスイマセン。次までにはもう少し国語力を高めておきます。

というわけで本題に戻りますが、とりあえず、今回の原稿では「あらすじ」は「あらずじ」とならずに済みました。つまり、涙でにじむ必要はなくなった訳です。
という事はどういう事かというと…!
そうです!「突撃!隣の痕跡本」ななンと応募があったのです!
いえぃ!
いやぁ嬉しいですね、やっぱり。ひとりぼっちじゃなかった、という嬉しさも勿論ありますが、それよりも、やっぱり未知の痕跡本に出会えた、同じ楽しさを共感できる人に出会えた、というところが何よりも嬉しかったです。
なんだか、この連載も続けていいんだ、という勇気をもらった気にすらなりましたよ…。
今回応募して下さったのは、愛知県名古屋市のWさん。なんと、直接犬山の「古書 五っ葉文庫」まで持ってきて下さいました。
その本とは「退屈世界」昭和4年発行の、大変古い本です。
箱入りの表紙には、ゆるい、という言葉を超越した、なんというか、えらい事になってる絵がならび、
退屈世界 1


退屈世界 2


本体も、なんだか中途半端に色づけがなされている、非常にアレな仕上がり。

退屈世界 3


作者は和田邦坊。代表作は「成金栄華時代」
……誰?ですよね、皆さん。代表作も????ですよね。でもですよ、おそらくこの作品、見た事無い人はいないんじゃないか、と思います。
ほら、覚えてませんか?
「暗くてお靴がわからないわ」といっている女中さんに、「ほら、これで明るくなっただろう」といってお札に火をつけて足下を照らす、成金ひげデブの絵…。
そうです!教科書にいつも載ってるあの絵です!あの風刺漫画を描いた漫画家、それこそが「和田邦坊」なのです。
懐かしい。やったなぁ、成金ごっこ…。ウィキペディアでも、成金の象徴として紹介されていましたよ!http://ja.wikipedia.org/wiki/成金
まさか、こんなところで再会できるとは思ってもいませんでした。しかしこの絵は、あれと同じ作者?と思うくらい、無茶苦茶な絵です。いや、スゴい絵と言った方がいいのかもしれない。脱力感もさることながら、そもそも何を表しているのかわかりそうでわからない。見るだけで一気に思考能力を奪われる、おっそろしい絵…。
この本は、東京日々新聞に掲載の、退屈をテーマにしたイラスト付きの漫談、小話がまとめられた一冊なのですが、中で描かれている絵は、ディフォルメが効きながらも、ちゃんとした絵でした。にもかかわらず、和田邦坊が表紙に選んだのはこの「ちゃんとしてない」絵。ある意味本の生命線とも言える表紙に、なぜこんな絵を選んだのか…。
それは、和田邦坊なりの、メッセージなのではないでしょうか。
風刺漫画の場合、当然ながらメッセージが伝わらなければ意味がありません。一見すると面白く描かれていても、社会と向き合い、そして批判を笑いの形に一旦ひねって表現する。それは非常に政治的緊張感を強いられる仕事であり、そして生まれる笑いもまた、知的仕事の果てのものです。
でも、だからこそ意味の無い、純粋な笑いだけのものがあってもいい、そんな風に和田邦坊は考えているのではないでしょうか。メッセージ等いらない。ひまつぶしに読む本に、高尚な理屈などいらない…。この本でも、冒頭でいきなり「この本の担当してくれている編集者の方が、自分より絵がうまくていやんなっちゃう」とか根本をゆるがすような、肩の力がぬける、ゆるい愚痴から始まります。
退屈な時に読む本は、何も考えないでいいんじゃね? 
この表紙の絵には、そんなメッセージが溢れているかのように僕には思えます。よく見てみれば、背表紙にこそタイトルはかかれているものの、箱にも本体にも、表紙側には一切文字がありません。難しい事は抜きにして、思考停止で楽しんでもらいたい…。それが和田邦坊がこの本で言いたかった「退屈魂」なのではないでしょうか。
ちょっと前置きが長くなりました。肝心のこの本に残されていた痕跡ですが、それは、まさしくこの本の為に残されていたかの様な痕跡でした。

退屈世界 4


カラー本!?いえいえ、後で塗られたものです。つまり、痕跡。しかしながら、見て頂きとわかるかと思いますが、この塗られているページは最終ページなのです。まさか、総てのページに色塗りを!?
…と思いますが、残念ながらそんな事はなく、なんと、始めからではなく最終ページから色塗りをはじめ、しかも途中で放棄する、という大変にいいかげんな仕事がなされていました。

文字通り、退屈になってやめたのでしょう。

よくよくみると、この表紙の中途半端な赤塗りも、上部の模様と色が違うので、どうやらこれも前の持ち主の仕事の様です。

退屈世界 3


いいなぁ、適当きわまりない…。

和田邦坊の「退屈毒牙」にかかってやる気をそがれ、でものびのびとした時間を過ごしたのであろう、前の持ち主。ある意味、この本を心の底から楽しんだ証なのだと思います。

…なんて読み解いてみたのですが…どうでしょう?Wさん。いやぁ、それにしてもいい本ですね、これ。本としても、痕跡本としても…!
今回、「突撃!隣の痕跡本」に応募下さいましたWさんには、特製の「痕跡本ものがたりカード」をおまけにつけて本と一緒にお返しさせていただきます。
どんなものかは…そう、応募してのお楽しみ!
よろしければ皆さんも、是非とも「突撃!隣の痕跡本」にご参加下さい。採用させて頂いた方には、もれなくその痕跡本の「痕跡本ものがたりカード」をお送り致します。

☟応募は下記のアドレスまで?☟

「突撃!隣の痕跡本」応募項目

□宛先:古書 五っ葉文庫 古沢和宏

□メールアドレス:clover4403@yahoo.co.jp

□ご応募に際してお送り頂きたいもの:
 ①痕跡本の写真

 ②痕跡の説明

 ③痕跡を読み解いた物語


次はどんな強敵と出会えるのか、それとも………やっぱり…出会えずに終わるのか……。痕跡本をお待ちのかた、ぜひぜひご応募下さい!お待ち致しております。

…………あ……!
そういえば、前回に告知致しました「五っ葉文庫の痕跡本書店」ですが、アレがアレしてしまっており、未だ販売開始できておりません。誠に申し訳ございません。なるべく早くアレをアレしますので申し訳ございませんが今しばらくお待ち下さいませ。何卒宜しくお願い致します。

………なんか、ここにきても言い訳ばかりですね…スイマセン………

DSTT 販売マジコン
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category : 痕跡本を読む  古沢和宏 comment [0] trackback []
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