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category :
「誰か」の地球の歩き方
r4i-sdhc夏休みな8月もそろそろ終わりますが、皆様、今年の夏はいかがお過ごしだったでしょうか?
僕は現在、ハワイにいます。前回の、呪いにも似た「リア充」連呼がどうやら奇跡を呼んでくれた様。いや、あえていわせてください。ワイハなう!!!!!!!!!!!!!! 
1


真ん中に写ってる僕の恋人、いやステディがお盆に実家のあるハワイに帰省するというのでついでにやってきたのですが、いやぁいいところですね、ハワイ。
海が青い。空が青い。青い、
青い、とにかく青い。

ステディが母の味だと教えてくれた、ワイキキスタイルで食べるブルーハワイかき氷もこれまた青くて、その後に行った青の洞窟もまた別世界の様に真っ青で…。他にも、青い体験、青い春、青い輝彦、青い優、宮崎青い、と見渡す限りに青だらけ。青とは、ハワイの為にある言葉だとでも思えてくるくらいにワイハは青ざかりでした。でもまさか、ステディのママまで青いとは思わなかったぜHAHAHAHAHAHA~~!!!!!!!!

…すいません、もう無理です。。僕が悪かったです。勘弁して下さい………実際には、僕は愛知県春日井市のちんけなアパートでどんより扇風機のもと、これを書いています。
ああそうさ、ハワイ、行った事ねえよ!というか「日間賀島」以外、海の外にでたことねえよ!※注:日間賀島…愛知県の三河湾に浮かぶ小さな島。タコが有名。
この写真だってweb上で出会ったフリーの素材写真じゃい!
…ちょっと暴走が過ぎました。しかし、何故僕はこんな、どう考えてもバレそうな嘘をつかねばならなかったのか。その答えは簡単です。
そりゃもう、妄想に逃げるくらいに旅がしてみたかったからです。 
ネットサーフィン(死語)をしているウチに辿り着いた、このハワイの画像。その透き通る様な空気感に、つい引き込まれて
旅している気分に浸ってみたくなってしまいました。そしたら、あれよあれよとこんなザマに…という訳です。
でも皆さんも、そういう事ってありません?一枚の写真にひかれ、旅に出たくなっちゃう事、
そして想像が膨らんでその写真の世界の中に、つい入り込んじゃう事。あるいは旅のガイドブックを読んでいて、その場所に、
なんだか実際に行ってる様な気持に浸ってしまうこと。
実際には様々な制約があってそう簡単に旅に出られなくても、そんな、脳内旅行であればいつでもどこでも、そしてどこにでも行く事ができます。繰り返しの日常ななか、浮き世を離れてつかの間のリラックス、そしてのびのび現実逃避。脳内旅行だって、立派に旅だと言えるのではないでしょうか。
しかし、写真だと写っているものしか情報がなくて想像のとっかかりが少なすぎたり、また、ガイドブックも網羅している範囲が広すぎてどこを見ればいいのか
わからなくなったり、表記もあっさりしていたりとともすると、
なんだかせっかくの脳内旅行なのに、薄味で訳の判らないものになってしまいかねません。
そんな脳内旅行をもっと豊かに楽しみたい方におすすめなもの。それが「ガイドブックの痕跡本」です。
たまに古本屋さんでみかけませんか?
よれよれで、ぼろぼろで、なんだか疲れた感じのガイドブック。そんな本を開くと、そこには、そのガイドブックを使って旅をしていた人の、
痕跡が見つかる事があります。
地図に旅行の行程が記されているのは勿論のこと、
旅先で買ったもののレシートや写真なんかが挟まっていたり、あるいはページの隅っこに何気ない一言が書かれていたりと、ガイドブックに残されているものは、まさに旅そのものの痕跡。
そこには具体的な旅の行程とその中での日常がたくさんのこされていて、それを追って行くだけで、まるでその人の旅を追体験している様な気になれたりします。
また、とある山登りの本には登山当日に書き込んだと思われるメモ書きや荷物についての記述のほかに、「ランニング毎日1キロ!」なんて、旅に出る前のトレーニングが意気込みの様に書かれていて、旅だけじゃない、その前の気持の盛り上がりまで感じる事ができたり、なんて事もあったりします。
他の痕跡本とは、楽しさがまたひと味違う、そんな旅の痕跡本。でも、あいにく僕は手元にある痕跡ガイドブックはすべて読み終えてしまっており、最近ではとんとご無沙汰でした。
でも、そんな時に手元に届いた一冊の本。開けてみると、なんとも痕跡くさい、ぼろぼろなガイドブック。送り先をみてみると、この連載の担当をして下さっているHさんからのものでした。偶然にみつけたので是非、との事。
ありがとうございます!丁度ネタが切れて…いやいや、脳内旅行がしてみたかったところだったのです。
という訳で、今日の痕跡本はこれ!
「地球の歩き方 フィリピン」  2008~2009年度版です。
2


「地球の歩き方」といえば日本人にとっての海外旅行のお供、それも、どちらかといえばバックパッカー的一人さすらい系旅人の
強い見方、という印象が強い本。
おすすめな安宿の情報は勿論、有名じゃなくても見ておくべき細かな見所が紹介されていたり、実際の旅をしている人からの現地の情報の投稿なども併せて掲載されていたりと、旅の生きた声が聞こえる、まさに、歩いて旅する人の為の本。たまにそんな投稿記事の中にはうさんくさい話や誤情報もあったりして、そのため「地球の迷い方」なんて呼び名もつけられてしまっていたりしますが、でもそれも旅の醍醐味。自分で歩いて道をつくる面白さを、身をもって教えてくれます。まさに若者を旅に出させ、迷わせ、そして自分で歩ける様にしてくれる、センチメンタルジャーニー界のバイブル、それが「地球の歩き方」なのです。
…というのも今は昔、最近では利用者層の広がりに伴い、高級ホテルなどの情報も多数掲載され、またあやしげな情報も大人しくなり割と普通のガイドブックに落ち着いてきた感があるといわれています。でも、それでも日本人に取っての強い見方である事には変わりはありません。
さて、そんなこの「地球の歩き方」まずは表紙を開いたところに最初の痕跡がありました。

3


本体方やぶられ、そして何かの電話番号と思われる数字。おそらくホテルかなにかと思われるますが、その細かいしわの雰囲気から、まさに相棒レベルの距離感でこの地図は旅のお供をしていたのでしょう。そして、それは本のママではちょっと邪魔な旅をしていた、という事を意味します。いつでも気軽に地図だけは見る事ができ、他の荷物はリュックサックの中へ。それはまさに歩きでの旅。この地図の雰囲気から、
僕はヒッチハイカー的な旅をしていた人なのかな、という印象を受けました。
しかし、その後に書かれていた宿泊のページで事態は急変します。
なんと、5つ星はじめ、高級ホテルに○が打たれていたのです! 

4


馬鹿な!ここは金持ち向けだぞ!
地図をやぶって旅をするような、そんなおまえのページではない筈…!もしかしたら、この人はただの普通の観光客だったのか…。しかし、このあざやかすぎる地図の破り方、そして、本自体のいたみっぷり、これは、そんなぬるま湯旅行をくぐりぬけてきたとは思えない立ち姿。いったいコレは、どういう事なのだろう。
矛盾する痕跡に翻弄されながらもページを進めて行くと、その謎を解く鍵になりそうな痕跡の残されたページにたどりつきました。
このホテルの紹介のページ、そのゲストハウスの項目に、大きく「うそつけ!!」 と書かれていたのです。
5


なるほど…これは、ゲストハウスがよっぽどダメだった、という事か! 
長期間滞在するバックパッカーにとって、安価で泊まれ、また同じ様な旅をしている人と情報交流のできるゲストハウスはなくてもならない存在。
でも、そこで予想外な事態が起きてしまう。
驚き、怒り、そして若干怖くなった持ち主は、高級ホテルに救いを求めた…。
この痕跡はそんな事を物語っているのではないでしょうか。ただ、ゲストハウスで痛い目に会うくらいに利用していたという事はやっぱり貧乏旅だった、という証拠になりえます。
反対ページのゲストハウスより少し上くらいな庶民ホテルにチェックが入っているあたり、ここが前の持ち主の本音なのでしょう。
でも、残されていた手書きの痕跡はこれくらいのものですが、この本自体の傷やいたみから伝わってくる存在感は相当なものです。どれくらいの期間、どれくらいの苦労とともに旅をしてきたか…そんな具体的なところまではわからないまでも、この本が経験した時間の重みと充実感は、想像にかたくありません。
おそらく、そういう旅の痕跡というものは、言葉一つ一つに意味があるのではなく、
蓄積されたその存在感になって表れるのではないかと思います。そして、それが人に伝わり、その存在感に触発されて、
つい脳内旅行をしたくなるのではないか…。本の旅を、追いかけたくなるのではないか…。
聞くところによると、海外のゲストハウスを中心に、旅人が集うところでは、文字通り、いたるところで「地球の歩き方」が歩き回っているそうです。例えば、いつも一緒の持ち主とともに。例えば、たくさんの旅人の手から手へ。例えば、ゲストハウスの本棚の中で。中には、軽く地球を1周する位の距離と両の手じゃ足りない位の人のお供となっている本もいるでしょう。
そういう本は、おそらく日本じゃ生まれようがないでしょう。
未だ海外に行った事の無い僕ですが、実はもしも行くとしたら、と夢描いてる海外旅行があります。それは、「地球の歩き方」の旅を「旅」する事。いろんな町で、色んな国で待ているであろう、遥かな旅をしてきた「地球の歩き方」たち。そんな、彼らの旅に出会う旅、というのが実はしてみたいのです。そして、僕自身も「地球の歩き方」を持って、その本にも旅をしみこませて…なんて、今はまだ脳内旅行のレベルですが、いつかそんな事ができたらな、なんてずっと思っていました。
でも、今回この本を見て、そんな思いがより強くなりました。Hさん、素敵な本をありがとうございました!おかげさまでなんとか今回ものりきれ…いや、素敵な物語に出会えました。
旅の本は、それ事態がすでに一つの「旅」なのです。

読者の皆様の痕跡本自慢コーナー「突撃!となりの痕跡本」もまだまだ募集しています!面白い痕跡本をお持ちの方は是非ともご応募下さい。お待ちしています!

☟応募は下記のアドレスまで?☟

「突撃!隣の痕跡本」応募項目

□宛先:古書 五っ葉文庫 古沢和宏

□メールアドレス:clover4403@yahoo.co.jp

□ご応募に際してお送り頂きたいもの:
 ①痕跡本の写真

 ②痕跡の説明

 ③痕跡を読み解いた物語




あ、最後にひとつ。文中に謝った表記がございました。勢いで書いてしまいましたが、ハワイには「青の洞窟」はありません。ここに訂正とともに、謹んでお詫び申しあげます。


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        『痕跡本のすすめ』 / 古沢 和宏 著







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category : 痕跡本を読む  古沢和宏 comment [0] trackback []
退屈な時に読む本は、何も考えないでいいんじゃね?
3DS R4i 販売退屈世界 4


【前回のあらすじ】
「古書 五っ葉文庫」古沢和宏は”痕跡本”が大好きな古本屋である。
しかし、せっかくだからいろんな人の痕跡本が見てみたい!と、意を決して募集を呼びかけてみる事にした。
「突撃!隣の痕跡本」しかし、待てどくらせど応募数はゼロ。できればみなさんの痕跡本で原稿を書きたかった…。でも締め切りは迫ってくる。ふいに油断した瞬間、涙が二粒、原稿にこぼれた。
出来上がったものをみてみるとあら不思議。
「前回のあらすじ」と書いた筈が、「前回のあらずじ」に…。
書いていない点が二つ、それはまるで、涙という痕跡が刻んだ濁点。泣くんじゃない、古沢和宏!
きっといるはず、痕跡本好き!だから待とう、希望をもって…!もう二度と、「あらすじ」を、涙でぬれた「あらずじ」にしない為にも…! 


こんにちは。誤植の言い訳を「涙」で水に流したい、その場しのぎニストな古本屋「古書 五っ葉文庫」の古沢です。

……………だめか。

そうですよね……………。そもそも原稿、手書きじゃないし。
すいません、もしかしたら誰もきづいてなかったのかもしれない話を一人で勝手にわいわいと…。でも僕的にはかなりヘコんだわけなんです。いきなり書き出しから間違える奴がいるか、と。
それこそ、痕跡本の応募が来なかった事より! 
掲載された原稿をみた瞬間、「やってもた…」の脳内大コーラス。一人部屋の中でもんぞりかえってバタバタして、頭の中にいろんな言い訳を考えては、かき消して…。そんな永遠に続くかの様な言い訳無限地獄のなか、でも次の瞬間、頭の中でおかしなスイッチが入りました。
誤植の言い訳を考えるの、なんか楽しいかも! 
いや、開き直りじゃないですよ…!
あなたにもありませんか?言い訳を考える為に頭をフル回転させたとき、普段じゃ考えつかない様なアイデアが浮かんだ事…。追い込まれ、アレとコレとの説明に矛盾がないよう、そして、できるだけ自分の落ち度がなくみえるよう、頭の中で一生懸命に考えるそれは、日常の想像力を遥かに凌駕します。
そして、最高の言い訳ができた時には、ほっと安心すると共に、切り出すタイミングを、ドキドキと、でも実は楽しみにしていたりする…。
言い訳とは、つまりは自分を守るためにつくりだす「物語」にほかなりません。と同時に、本来の「真実」という物語を別の側面から切り取った、自分だけの「パラレルワールド」を作り出す事でもあります。それは、現実に触発されて生まれた、誰も知らない、自分だけの物語…。
実は、そこには痕跡本を読む楽しさと通じるところがあったりします。いや、すべての「物語」を生み出す楽しさと同じともいえるでしょう。
「無」からは物語は生まれない。すべて、想像力を活性化させるきっかけがある…
言い訳とは、もしかしたら「物語」のはじまりなのかもしれません。 

…話が壮大にそれました。というか、話をそれっぽく大きくして、つい言い訳の言い訳をしてしまいました…。どこまで往生際が悪いんだ僕は…。
改めましてスイマセン。次までにはもう少し国語力を高めておきます。

というわけで本題に戻りますが、とりあえず、今回の原稿では「あらすじ」は「あらずじ」とならずに済みました。つまり、涙でにじむ必要はなくなった訳です。
という事はどういう事かというと…!
そうです!「突撃!隣の痕跡本」ななンと応募があったのです!
いえぃ!
いやぁ嬉しいですね、やっぱり。ひとりぼっちじゃなかった、という嬉しさも勿論ありますが、それよりも、やっぱり未知の痕跡本に出会えた、同じ楽しさを共感できる人に出会えた、というところが何よりも嬉しかったです。
なんだか、この連載も続けていいんだ、という勇気をもらった気にすらなりましたよ…。
今回応募して下さったのは、愛知県名古屋市のWさん。なんと、直接犬山の「古書 五っ葉文庫」まで持ってきて下さいました。
その本とは「退屈世界」昭和4年発行の、大変古い本です。
箱入りの表紙には、ゆるい、という言葉を超越した、なんというか、えらい事になってる絵がならび、
退屈世界 1


退屈世界 2


本体も、なんだか中途半端に色づけがなされている、非常にアレな仕上がり。

退屈世界 3


作者は和田邦坊。代表作は「成金栄華時代」
……誰?ですよね、皆さん。代表作も????ですよね。でもですよ、おそらくこの作品、見た事無い人はいないんじゃないか、と思います。
ほら、覚えてませんか?
「暗くてお靴がわからないわ」といっている女中さんに、「ほら、これで明るくなっただろう」といってお札に火をつけて足下を照らす、成金ひげデブの絵…。
そうです!教科書にいつも載ってるあの絵です!あの風刺漫画を描いた漫画家、それこそが「和田邦坊」なのです。
懐かしい。やったなぁ、成金ごっこ…。ウィキペディアでも、成金の象徴として紹介されていましたよ!http://ja.wikipedia.org/wiki/成金
まさか、こんなところで再会できるとは思ってもいませんでした。しかしこの絵は、あれと同じ作者?と思うくらい、無茶苦茶な絵です。いや、スゴい絵と言った方がいいのかもしれない。脱力感もさることながら、そもそも何を表しているのかわかりそうでわからない。見るだけで一気に思考能力を奪われる、おっそろしい絵…。
この本は、東京日々新聞に掲載の、退屈をテーマにしたイラスト付きの漫談、小話がまとめられた一冊なのですが、中で描かれている絵は、ディフォルメが効きながらも、ちゃんとした絵でした。にもかかわらず、和田邦坊が表紙に選んだのはこの「ちゃんとしてない」絵。ある意味本の生命線とも言える表紙に、なぜこんな絵を選んだのか…。
それは、和田邦坊なりの、メッセージなのではないでしょうか。
風刺漫画の場合、当然ながらメッセージが伝わらなければ意味がありません。一見すると面白く描かれていても、社会と向き合い、そして批判を笑いの形に一旦ひねって表現する。それは非常に政治的緊張感を強いられる仕事であり、そして生まれる笑いもまた、知的仕事の果てのものです。
でも、だからこそ意味の無い、純粋な笑いだけのものがあってもいい、そんな風に和田邦坊は考えているのではないでしょうか。メッセージ等いらない。ひまつぶしに読む本に、高尚な理屈などいらない…。この本でも、冒頭でいきなり「この本の担当してくれている編集者の方が、自分より絵がうまくていやんなっちゃう」とか根本をゆるがすような、肩の力がぬける、ゆるい愚痴から始まります。
退屈な時に読む本は、何も考えないでいいんじゃね? 
この表紙の絵には、そんなメッセージが溢れているかのように僕には思えます。よく見てみれば、背表紙にこそタイトルはかかれているものの、箱にも本体にも、表紙側には一切文字がありません。難しい事は抜きにして、思考停止で楽しんでもらいたい…。それが和田邦坊がこの本で言いたかった「退屈魂」なのではないでしょうか。
ちょっと前置きが長くなりました。肝心のこの本に残されていた痕跡ですが、それは、まさしくこの本の為に残されていたかの様な痕跡でした。

退屈世界 4


カラー本!?いえいえ、後で塗られたものです。つまり、痕跡。しかしながら、見て頂きとわかるかと思いますが、この塗られているページは最終ページなのです。まさか、総てのページに色塗りを!?
…と思いますが、残念ながらそんな事はなく、なんと、始めからではなく最終ページから色塗りをはじめ、しかも途中で放棄する、という大変にいいかげんな仕事がなされていました。

文字通り、退屈になってやめたのでしょう。

よくよくみると、この表紙の中途半端な赤塗りも、上部の模様と色が違うので、どうやらこれも前の持ち主の仕事の様です。

退屈世界 3


いいなぁ、適当きわまりない…。

和田邦坊の「退屈毒牙」にかかってやる気をそがれ、でものびのびとした時間を過ごしたのであろう、前の持ち主。ある意味、この本を心の底から楽しんだ証なのだと思います。

…なんて読み解いてみたのですが…どうでしょう?Wさん。いやぁ、それにしてもいい本ですね、これ。本としても、痕跡本としても…!
今回、「突撃!隣の痕跡本」に応募下さいましたWさんには、特製の「痕跡本ものがたりカード」をおまけにつけて本と一緒にお返しさせていただきます。
どんなものかは…そう、応募してのお楽しみ!
よろしければ皆さんも、是非とも「突撃!隣の痕跡本」にご参加下さい。採用させて頂いた方には、もれなくその痕跡本の「痕跡本ものがたりカード」をお送り致します。

☟応募は下記のアドレスまで?☟

「突撃!隣の痕跡本」応募項目

□宛先:古書 五っ葉文庫 古沢和宏

□メールアドレス:clover4403@yahoo.co.jp

□ご応募に際してお送り頂きたいもの:
 ①痕跡本の写真

 ②痕跡の説明

 ③痕跡を読み解いた物語


次はどんな強敵と出会えるのか、それとも………やっぱり…出会えずに終わるのか……。痕跡本をお待ちのかた、ぜひぜひご応募下さい!お待ち致しております。

…………あ……!
そういえば、前回に告知致しました「五っ葉文庫の痕跡本書店」ですが、アレがアレしてしまっており、未だ販売開始できておりません。誠に申し訳ございません。なるべく早くアレをアレしますので申し訳ございませんが今しばらくお待ち下さいませ。何卒宜しくお願い致します。

………なんか、ここにきても言い訳ばかりですね…スイマセン………

DSTT 販売マジコン
category : 痕跡本を読む  古沢和宏 comment [0] trackback []
君が好きだとさげすみたい。
3dstt 通販悪の華 4

こんにちは。
いや、
Yeah!!!!! 
暑い日々が続いていますが、皆さん、リア充していますか?
夏草や リア充どもが 夢のあと 
なんて句にも読まれるくらい、古来より、日本人にとって夏のリア充は、欠かす事ができない大切なものでした。
山リア充、川リア充、海リア充、のリア充3段活用に始まり、夏祭リア充からのナンパ&アバンチュールリア充、などの大人の階段リア充、リゾートリア充に浴衣リア充、花火リア充にロックフェスリア充、里帰りしたら初恋の子と十年ぶりにばったり偶然の再会リア充に至るまで…!
…なんて、僕には縁のない話ですが。
でも、今まではリア充知識だけ頭の中にためこんで、まったく活かす機会のないまま不発リア充弾を抱え込んでいた僕も、今年の夏は違いましたね!そう、きちゃったのですよ!ついに僕にもリア充の夏が!今、僕はリア充の余韻のなかにいます。いっちゃっていいですか?僕のリア充体験。
実はですね…。
「突撃!隣の痕跡本」に応募があったのです! 

…………………………………………あれ?…いやいやいや、ちょっと待って下さい。だってね、今まで応募がなかったんですよ!何の出会いもなかったんですよ!そこにコレですよ!完全にリア充じゃないですか?
ダメですか?いや、ちょっと聞いて下さい。
俺のリアルは「痕跡本」だけですから! 
あ、かっこいい風ですね、コレ。なんとなく「ボールはトモダチ」系の香りがします。
いやでも実際、充実する「リアル」って、人それぞれだと思うんですよ。人によって好きなもの、嫌いなものがあるみたいに、価値観もそれぞれ。人にあわせて、世間一般の「リアル」につきあってみても、それが肌にあわなければ、やっぱりそれは苦痛でしかありません。例えば女の子にモテモテ男子も、ゲイの方にとっては、ちっとも嬉しくなかったり、など、大事なのは客観的なリアルじゃない。自分にとってのリアルです。
話がそれました。というか、本題に、未だまったくふれられていません。少しリア充リア充書きすぎましたね…。実は、あまりに自分がリア充じゃないので、せめて気持だけでもとリア充リア充書いてみたのですが、なんだか…余計にむなしくなるばかりです。今…猛烈に後悔しています…。
いやいやいや、またこのままだと本題に戻れなくなってしまう。暗黒面に落ちる前に、そろそろ本題に入ります。
先日、東京の映画配給会社「UPLINK」にて「UPLINK古書祭り」が開催されました。ディープでやんちゃで、そしてどこか人の体温を感じる様な他ではみられない映画を発掘し、そして発信しつづけている「UPLINK」。そんな空間にぴったりな、濃いぃ本がいっぱいのとても素敵なイベントだったのですが、その中に、何故か僕も紛れ込ませて頂ける事になり、痕跡本の展示と、トークイベントを開催させていただいたのです。
トークのタイトルは「痕跡本の探し方&読み解き方入門」
自分が今まで身につけてきた痕跡本の探し方と同時に、読み解き方、というか「妄想」の膨らませ方を披露する、という1歩間違えると「この人、ちょっと大丈夫か?」になってしまいそうな内容でしたがおかげさまでなんとか満席となり、妄想も、そこまでアレな方に暴走せずにいい感じで幕を下ろせました。そのトーク終了後、一人のお客さんがやってきました。
それが、横浜市のKさん。ご自身のお持ちの痕跡本を、この機会だから、と持ってきて下さったのです。今回紹介する本は、
ボードレール「悪の華」佐藤朔によって訳された、昭和22年発行の本です。
悪の華 1

年期はいりまくりのこの本、残されている痕跡は一体なんですか、と聞いてみると、とあるページはオープンしてくれました。
そこにあったのは、詩集の下部の空間に記された、別の訳でした。
悪の華 2

達筆!しかも振り仮名まで付きの超豪華版!あまりにも丁寧すぎる書き込みです。探してみると、全部で4つの詩の下に、このセルフ完全版とでもいうべき詩が書き込まれてした。しかし、丁寧なだけじゃなく密度が濃いので、有無をいわせぬ存在感が、ちょっと怖いです。よく見ると、この手書きの訳は、総て「上田敏」によるものの様。
「ずっと気になっていたんです。なんなんでしょう、これ…」「ちょっと怖いくらい丁寧ですよね…」「やっぱりこれは、悪の華は上田敏の訳じゃなきゃ…て事なんでしょうかね?」
確かにあるんですよね、訳が気に入らないからと、訳者にダメ出ししている痕跡本…。自分の所にある痕跡本でも、訳者にむかって矢印ひいて、「田舎者」なんて書いてあり、セルフ添削で、いちいち本文の言い回しを修正してある、なんて痕跡本もあったりします。名付けて「さげすみ系痕跡本」
でも、そんないじわるな気持でやったにしては、この仕事、あまりにも丁寧です。
悪の華 3


気になって調べていくと、なんだかおぼろげに色々な事が解ってきました。まず、この訳者の佐藤朔。1905年(明治38年)生まれのフランス文学者で、慶応義塾の教授でもあり塾長も努めた人物なのですが、なんとこの方、1941年(昭和16年)日本で初めて「悪の華」全訳した方だという事が解りました。そしてこの本は、昭和16年に訳したそれを、改めて昭和22年訳し直した本だったのです。
でも、全訳が初めて、という事は、部分部分は訳されていた、という事でもあります。
そう、その一部を訳していた人。それこそが上田敏だったのです。1874年(明治7年)生まれの文学者であり評論家だった上田敏は、翻訳も手がけており、明治時代の日本に、たくさんの海外作品を紹介しました。
そんな上田敏は1905年(明治38年)に「海潮音」という訳詩集を発表します。
その中でダンテ、シェイクスピア、ハイネなどと一緒に訳した作品の中にボードレール「悪の華」の詩がありました。
そして、「海潮音」に記された「悪の華」の詩は5編。
そう。この痕跡本に残されていた4編とは、まさにここに収録されていた5編のうちの4編だったのです。
そして面白い事に、上田敏は晩年、慶應義塾大学文学科の顧問に就任します。
そう、佐藤朔と同じ慶応義塾なのです!

ーーーーーーここから妄想モード。もしかしたらこの本…佐藤朔の教え子の本だったのではないか…。そして、先生のもとで、上田敏の存在に気付く、なんてのは。年も31も離れ、また佐藤朔が11歳の時に亡くなってしまう上田敏とは、おそらく面識はないかと思われますが、でも同じ道を行く先人として、そして大学での先達でもある上田敏の事を「悪の華」の訳の事を語る際に、話題にあげていた、という可能性は充分すぎる程にあります。
この本の出版された昭和22年という段階において「悪の華」という作品が他にも訳していた人がいたかどうかまでは、僕の残念な頭ではわかりかねますが、それでも佐藤朔にとって、何か特別な、他の文学者よりも気持的に近しいところに上田敏の存在があっても不思議じゃないでしょう…。
佐藤朔が、上田敏の事をどんな風に語ったのか、そこまではわかりません。ですが、一人の学生に、刺激を与えるには十分だった…。そして、そんな両先生に敬意を示し、丁寧に、振り仮名まで含めて書き込んだ。いつでも、2人の先生に出会えるように…。
悪の華 4


……なんて妄想飛ばしてみたのですが、どうでしょう。この本の持ち主であるKさんも、「2人の訳の、比較のためなのかも」なんて語られてましたが、いざ比較をしてみたら、このお二人の人生が不思議なところでリンクをはじめ、こんな面白げな話にいきつくことができました。
これは所詮は妄想にすぎませんが、でもこうして気付かなかった線が微妙につながった時って、なんだか不思議な、大発見をした気になれますね…!正直この瞬間が、この夏一番の山場だったかもしれない。
Kさん、素敵な痕跡本をありがとうございました!
今回「突撃!隣の痕跡本」に応募下さいましたKさんには、特製の「痕跡本ものがたりカード」をおまけにつけて本と一緒にお返しさせていただきます。
どんなものかは…そう、応募してのお楽しみ!
よろしければ皆さんも、是非とも「突撃!隣の痕跡本」にご参加下さい。採用させて頂いた方には、もれなくその痕跡本の「痕跡本ものがたりカード」をお送り致します。

☟応募は下記のアドレスまで?☟

「突撃!隣の痕跡本」応募項目

□宛先:古書 五っ葉文庫 古沢和宏

□メールアドレス:clover4403@yahoo.co.jp

□ご応募に際してお送り頂きたいもの:
 ①痕跡本の写真

 ②痕跡の説明

 ③痕跡を読み解いた物語



次はどんな強敵と出会えるのか、それとも………
やっぱり…出会えずに終わるのかアゲイン……。痕跡本をお待ちのかた、ぜひぜひご応募下さい!お待ち致しております。

あ………………! 
そういえば、ずっと告知&放置になってしまっている「五っ葉文庫の痕跡本書店」ですが、アレがまだまだアレしてしまっておりましてオープンは9月過ぎになってしまいそうです。誠に申し訳ございません。
なんて、もしかしたらリア充が充実すぎて、皆様も忘れているかもしれませんよね。リア充の季節が過ぎましたら、また是非とも思い出して頂けましたら幸いでございます。宜しくお願い致します。
………………僕も、そんな忘れられるくらいの「客観的」リア充に出会いたいものです……。


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        『痕跡本のすすめ』 / 古沢 和宏 著







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